皮脂と聞くと、ニキビの原因というイメージを持ち、お肌にとって悪者だと考えている方も多いと思います。しかし、皮脂は皮膚を守るために欠かせないものです。
そこで今回は、皮脂についてお伝えいたします。
目次
皮脂とは
皮脂とは毛穴の中の皮脂腺から分泌される油脂状の物質で、「角質細胞間脂質」や「天然保湿因子」とともに、皮膚の角質層に存在しています。お肌のバリア機能・抗菌機能・保湿作用があります。
皮脂は汗と混じり合って「皮脂膜」という天然の保湿クリームを形成し、外界からの異物の侵入を防ぎ、外的ダメージから皮膚を守るバリア機能を果たします。
また、皮膚からの水分蒸散を抑制する役割も担っています。
人体にはウイルスや細菌が体内に入ると、それらを早急に排除する自然免疫の仕組みが備わっていますが、皮脂の抗菌作用はまさにこの自然免疫の働きの1つです。これらの機能をうまく働かせるためには、正常な皮脂量を保つことが重要です。
しかし、皮脂バランスが崩れると、バリア機能・抗菌機能・保湿作用がうまく働かなくなり、様々な肌トラブルを引き起こします。
皮脂が多く分泌されるとオイリー肌になり、お肌のテカリ・ニキビ・吹き出物が発生するなどの肌トラブルにつながります。
また、皮脂が多くても水分が不足しているインナードライ肌になる可能性もあります。
インナードライになると、かさつき感やガサガサ感が生じ、この状態が進むと皮むけも起こります。お肌が硬くなり、しなやかさも失われ、放っておくとシワやたるみの原因にもなります。
オイリー肌とインナードライ肌は、皮脂量が多いという共通点があるため混同されがちですが、インナードライではゴワつきやカサつきを感じる点が異なります。
また、洗顔後の肌状態も確認しましょう。オイリー肌では洗顔後でも皮脂がすぐに現れますが、インナードライの場合は洗顔後にお肌がつっぱったり、かさつきを感じやすいという違いがあります。
皮脂が多く分泌される理由
皮脂バランスが崩れると肌トラブルにつながりますが、皮脂が多くなる理由には以下のようなものがあります。
ホルモンバランスによる皮脂分泌の増加
女性ホルモンは主にエストロゲンとプロゲステロンの二種類あります。この2つのホルモンの分泌バランスで生理周期を司っています。
エストロゲンは「妊娠の準備をするホルモン」「女性らしさやきれいにしてくれるホルモン」と言われており、生理後から排卵後まで多く出るホルモンです。
エストロゲンの働きにより、子宮内膜が増殖し、卵胞を育て、妊娠が成立しやすくなるほか、お肌や毛髪にはハリとツヤを与えます。
対してプロゲステロンはエストロゲンの作用により厚くなった子宮内膜をさらに妊娠しやすい状態にしたり、妊娠状態を維持するために必要な水分や栄養素をため込む作用がある「妊娠を助けるホルモン」と言われています。
このプロゲステロンは、妊娠を助ける作用の他にも皮脂分泌を増やす作用もありますので、黄体期のプロゲステロンの分泌が増えた時に皮脂分泌が多くなります。
また、思春期になると成長期のホルモンバランスが乱れることでも、皮脂の分泌が過剰になります。こういったホルモンバランスに、皮脂分泌が多くなる理由があります。
乾燥(保湿不足)
水分が不足すると乾燥肌になります。乾燥すると、皮膚を守ろうとするお肌のバリア機能が皮脂を多く分泌させます。
その結果、表面は皮脂で潤って見えるものの、内部は乾燥しているインナードライ肌になります。この状態で皮脂を取り除くスキンケアを続けると、皮脂分泌がさらに増える原因になります。
皮脂の取りすぎ
お肌のテカリを抑えるためにあぶら取り紙を使うことがありますが、取りすぎると必要な皮脂まで除去してしまい、皮脂分泌が過剰に促進される場合があります。
皮脂やべたつきが気になる方はティッシュや、やわらかいタオルで優しくお肌を押さえるようにしましょう。
間違ったスキンケア
間違ったスキンケアは、皮脂過剰を引き起こします。特に注意すべきは洗顔です。
テカリが気になるからと何度も洗顔したり、強くこすって洗うと、お肌に必要な皮脂まで取り除いてしまい、皮脂分泌をさらに促すことになります。
また、洗顔後にお湯を使うのもNGです。高温のお湯は必要な皮脂まで落としてしまう可能性があるため、ぬるま湯(30〜36℃)で丁寧にすすぐよう心がけましょう。
テカリ肌が気になるからと保湿を控えると、乾燥して皮脂の過剰分泌を招くこともあります。
生活習慣の乱れ
ケーキや白米、パンなど糖質の多い食事を摂りすぎると、オイリー肌を招きやすくなります。過度な糖質摂取は血糖値を急上昇させ、インスリン分泌を促します。
インスリンは皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌量を増加させる働きがあります。また、揚げ物や肉類など脂質が多い食べ物も注意が必要です。
睡眠不足も皮脂過多を引き起こします。十分な睡眠が取れないとストレスを感じ、男性ホルモンであるアンドロゲンが増加し、皮脂分泌を促します。
皮脂バランスを正常に保つ対策
皮脂はお肌にとって欠かせないものであり、多すぎても少なすぎても問題です。以下の対策で皮脂バランスを保ちましょう。
正しいスキンケア
正しい洗顔を心がけましょう。
1.きれいな手で洗顔料を十分に泡立てる(泡立てが苦手な方は、泡立てネットを使う)
2.泡を包み込む感じでマッサージするように「気持ちいい」くらいのやさしい圧で洗う
3.30~36度くらいのぬるま湯で1分間ほど丁寧にすすぐ
4.清潔なタオルで押さえるように水分をふき取る
次に保湿です。ご自身のお肌をよく観察し、一番気になる悩みに合わせて化粧水を選びましょう。塗布する際はお肌に水分をたっぷり補給することを意識してください。
塗布する化粧水の量が少ないと、お肌の水分不足によって乾燥が進んで皮脂分泌につながってしまうので、化粧水はたっぷりとつけましょう。しっかり水分を与えたあとは、乳液で水分をのがしにくくしましょう。
脂性肌はクリームやオイルをつかうと、油分を与えすぎてしまいますが、乾燥性脂性肌はお肌にかさつきを感じるため、必要に応じてクリームやオイルをつかうのもおすすめします。
生活習慣を整える
健康なお肌は水分と皮脂のバランスが良いため、バリア機能を維持できてお肌が潤っています。食事でタンパク質やミネラルなどの栄養が偏ったり、睡眠不足によって生活習慣が乱れると、皮脂の分泌がアンバランスになり、肌トラブルが起きる原因になります。
また、お肌の回復能力が落ちることでバリア機能が低下し、肌内部の水分を維持するのも難しくなり乾燥肌につながりやすくなってしまいます。
お肌を構成するために必要なタンパク質・ミネラル・ビタミンなどを満遍なく摂取できるよう、栄養バランスに気を配った食事を摂りましょう。
睡眠も非常に大切です。十分な質の良い睡眠をとって、ストレスとは無縁な生活を送れるようにしましょう。
ホルモンバランスに合わせたスキンケア
女性は生理周期の女性ホルモンによってお肌の状態が変わります。ということは、その時の肌状態に合わせたスキンケアを行うことが大切になります。
精神的に不安定な状態になる「PMS症状」も現れやすい「黄体期」は、通常、弱酸性にある肌表面が中性からアルカリ性へと傾き、さまざまな肌トラブルが現れます。
さらに、ホルモンの影響でシミができやすかったり、血行不良でくすみやむくみも生じます。
こんな時はお肌が敏感になっていますので、いつも通りのスキンケアを欠かさず、お肌に負担をかけないように過ごしましょう。月経が終わるころの卵胞期なら、エストロゲンによってお肌も絶好調になりますので、新しいスキンケアを試してみましょう。
まとめ
皮脂の分泌には、ホルモンバランスから生活習慣まで様々な原因があります。皮脂はありすぎもなさすぎもNGです。ご紹介した対策を参考にしてもらい、スキンケアや生活習慣を見直してみてください。
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