妊娠するとお肌の調子がおかしい?変わった?と思う方は多いのではないでしょうか?妊娠するとホルモン状態の変化により、お肌トラブルが発生してしまいます。できるだけ穏やかなお肌を取り戻すために、妊娠中の肌荒れの原因や対策方法をお伝えいたします。
目次
妊娠すると変わるホルモン
女性のカラダは排卵と月経を繰り返しており、このサイクルは2種類のホルモンの影響を受けています。エストロゲンとプロゲステロンといわれるホルモンです。まず「妊娠の準備をするホルモン」といわれるエストロゲンホルモンは脳下垂体からの卵胞刺激ホルモンにより卵巣から分泌されます。卵胞を育てて、子宮内膜を厚くすることで受精卵の着床がしやすいよう、受精卵が着床しやすいように整えてくれるのです。また、エストロゲンはお肌の調子を整えて肌荒れを防ぐ効果があります。対してプロゲステロンというホルモンは「妊娠を助ける・妊娠を継続するホルモン」といわれています。プロゲステロンは脳下垂体からの黄体形成ホルモンから分泌されます。エストロゲンの作用により厚くなった子宮内膜をさらに妊娠しやすい状態にしたり、妊娠状態を維持するために必要な水分や栄養素をため込む作用があります。プロゲステロンが増えると、皮脂の分泌が増えたり体がむくんだりと様々な不調を引き起こします。女性はこの二つの影響を受けながら、一定のリズムで排卵と月経を繰り返しています。
①妊娠初期 妊娠成立~4ヵ月頃(0週~15週)
生理周期により月経を繰り返しますが、女性は受精卵が着床すると、のちに胎盤になる組織からヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されます。妊娠検査薬はこのhCGの数値にて判定されています。このhCGは妊娠8〜12週頃に最も分泌されるホルモンですが、そのあとは減少し胎盤が完成する16週頃には分泌量も落ち着いてきます。hCGが分泌されることで、エストロゲンとプロゲステロンの分泌も増えるといわれています。プロゲステロンの分泌が増えるということは、皮脂分泌も増えるということです。肌の調子が悪くなり、ニキビやテカリなどの肌荒れにつながります。また、hCGは妊娠には欠かせないホルモンですが、hCGの影響やエストロゲンの増加で、吐き気・嘔吐などのつわり症状が起きるといわれています。つわりによりバランスのいい食事をとれていない方も、栄養不足の影響で肌荒れを起こしやすくなります。栄養や水分が不足すると肌のバリア機能が低下するため、乾燥肌や敏感肌に傾きやすくなります。
②妊娠中期 5ヵ月~7ヵ月頃(16週~27週)
エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は通常右肩上がりで増加し続けています。多くの場合、胎盤が完成する15週〜16週頃には、つわりはおさまるといわれています。また、妊娠20週頃でhCGの増加が完全に落ち着くとともに、ヒト胎盤ラクトゲン(hPL)の分泌が増加します。hPLは、赤ちゃんと母体へ確実に栄養を届ける役割をするホルモンです。乳腺を発達させて母乳を作る働きを担うプロラクチン(PRL:乳腺刺激ホルモン)も徐々に増加していきますが、プロゲステロンがPRLの働きを抑えているため、出産までは母乳は出ません。
③妊娠後期 妊娠8ヵ月以降(28週~)
妊娠後期になると、エストロゲンとプロゲステロンがさらに増えます。どのくらい増えるのかというと、エストロゲンの数値は妊娠前の50〜1100倍ほどとなります。プロゲステロンの影響で強い眠気が出たり、便秘がいっそうひどくなることがあります。
④分娩後
妊娠中に増加し続けていたエストロゲンとプロゲステロンは、出産直後にほぼゼロとなります。PRLによって乳腺を発達させて母乳を作っていましたが、プロゲステロンが出産直後にゼロになったことで母乳が出るようになります。
妊娠中に起こる多い肌トラブル
妊娠により変化が激しいホルモンは様々なお肌トラブルを引き起こします。
①ニキビ
妊娠中はプロゲステロンがぐんと増加します。プロゲステロンは妊娠を助ける・継続するホルモンですが、プロゲステロンが増えると皮脂の分泌が増えます。皮脂の分泌が増えると、お肌のテカリが気になったり、毛穴がつまってしまうことでニキビにつながったりしてしまいます。
②色素沈着
プロゲステロンはメラニンの生成を促す働きもあります。色素が沈着しやすくなるので、シミやソバカスが目立ちやすくなります。外出時には、帽子や日傘、UVクリームで日焼け対策をしましょう。また、乳頭や乳輪、わきの下や外陰部などが黒ずむことがありますが、これもメラニンの働きによるものです。出産時や授乳時に皮膚を守るために強く、そして赤ちゃんがおっぱいを見つけやすいように色も濃く変化しているといわれています。
③かゆみ・発疹
「妊娠性そう痒症」は、妊娠早期に全身にかゆみが出現し、掻きむしると引っ掻き傷や色素沈着になりますが、直接かゆみを引き起こす発疹がみられない疾患です。特に手足が夜間に非常にかゆくなるものもあり、妊娠中期から後期に胆汁うっ滞を伴って生じることもあります。「妊娠性痒疹(ようしん)」妊婦の2%に発症するといわれています。妊娠中に湿疹のような発疹が手足を中心に現れる疾患です。皮膚がカサカサしてかゆみを伴い、おなかや背中など体幹部にも発疹が出ることがあります。主に妊娠3カ月頃から妊娠中期にかけて発症し、まれに出産まで症状が続くこともありますが、出産後には改善します。初産婦よりも経産婦に症状が現れやすく、エストロゲンの増加が発症に関係しているといわれていますが、原因ははっきりとはわかっていません。
肌トラブルに対する対策
①紫外線対策
メラニン生成を促す作用を持つプロゲステロンの対策として、毎日のUV対策を習慣化しましょう。かといって、肌は敏感になっていますので、刺激の強いスキンケアは避けましょう。刺激の少ないスキンケアと、日傘や帽子などのアイテムでUV対策を行いましょう。
②ビタミンを摂る
ビタミンCは、メラニン色素の生成・沈着を防ぎ、肌の張りや弾力を保つコラーゲンの合成を促進する働きがあります。老化を防ぐ抗酸化作用もあるので、産前産後に関わらず、女性が積極的に摂取するべき栄養素です。いちご、柿、ジャガイモ、パセリ、ピーマンなど、野菜や果物に多く含まれています。熱に弱く水に溶けやすいので、生のまま摂取するか、調理時間を短くする工夫をしましょう。また、落花生などのナッツ類に多く含まれるビタミンEは、体の酸化を防ぎ、肌をみずみずしく保ってくれます。さらに、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、傷ついたお肌の再生を助けてくれます。β-カロテンそのものにも抗酸化作用があります。つわりで食べることが難しい場合でも、食事の時に積極的に摂取するように心がけましょう。
③スキンケアアイテム
妊娠中のお肌はホルモンの影響で敏感になり、妊娠前に使用していた化粧品でも刺激を感じることがあります。少しでも違和感を感じた場合は、その使用を控え、できるだけ刺激の少ないスキンケアアイテムに切り替えてみましょう。
まとめ
妊娠することで変化する女性ホルモンとお肌トラブルの関係についてお伝えいたしました。妊娠中は赤ちゃんと共に過ごせる大切な時間であり、同時に母体には心身ともに負担が増えます。敏感になってしまったお肌を労わりつつ、自身のケアも怠らないようにしましょう。ストレスを軽減させ、新しい命と自分自身のためにも、穏やかな妊娠生活を送りましょう。
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